療養病棟の看護師の一日は、バイタルサイン測定や処置、食事・排せつ・清潔ケア、リハビリテーションの支援、記録などを中心に進みます。急性期病棟と比べて入院期間が長い患者が多く、状態の変化を観察しながら、生活を支える看護を継続する点が特徴です。
ただし、受け持ち人数、医療療養病棟か介護療養病棟か、入浴日や検査の有無によって流れは変わります。以下は、日勤を中心とした一般的な例です。
療養病棟の看護師の日勤の流れ
日勤では、夜勤者からの申し送りを受け、患者の状態を確認してから、検温やケア、処置、食事介助などを行います。時間どおりにすべての業務を終えるというより、患者の状態や予定に合わせて優先順位を調整します。
8時台:出勤・申し送り
出勤後は、夜勤担当者から患者の状態や夜間の出来事について申し送りを受けます。発熱、血圧の変化、睡眠状況、食事量、排せつ、転倒リスク、点滴や酸素療法の状況などを確認します。
申し送りの後は、電子カルテや看護記録で受け持ち患者の情報を確認します。その日の検査、処置、入浴、リハビリテーション、退院や転棟に関する予定も把握し、優先して行う業務を整理します。
9時台:検温・状態観察・朝のケア
患者の部屋を回り、体温、血圧、脈拍、呼吸状態、酸素飽和度などを測定します。数値だけでなく、意識状態、表情、呼吸の苦しさ、むくみ、痛み、皮膚の状態なども観察します。
その後、洗面、口腔ケア、排せつ介助、おむつ交換、体位変換などを行います。自分で動ける範囲は患者自身にしてもらい、必要な部分を介助することが、身体機能の維持にもつながります。
10時台:処置・清潔ケア・リハビリテーションの支援
医師の指示に基づく処置や点滴、吸引、経管栄養の管理、褥瘡(床ずれ)の処置などを行います。処置の内容は病棟の機能や患者の状態によって異なります。
入浴日には、入浴できる患者の体調を確認し、入浴介助や更衣の支援を行います。入浴が難しい患者には、清拭や部分浴などで身体を清潔に保ちます。皮膚の赤みや傷の有無を確認する機会にもなります。
リハビリテーションの時間には、理学療法士や作業療法士などと情報を共有します。移動や食事、着替えなどで患者がどの程度自分でできるかを確認し、日常生活の中でもできる動作を続けられるように支援します。
11時台から昼:食事準備・食事介助・服薬確認
昼食前には、手洗いや姿勢の調整、口腔内の確認などを行います。誤嚥(食べ物や飲み物が気管に入ること)のリスクがある患者には、食事形態や姿勢に注意しながら介助します。
食事中は、食べる量やむせの有無、飲み込みにくさ、食事にかかる時間などを観察します。食後は口腔ケアや服薬確認を行い、必要に応じて体位を整えます。
午後:排せつケア・処置・カンファレンス・記録
午後も、患者の状態に合わせて検温や排せつ介助、体位変換、吸引、点滴管理などを行います。長時間同じ姿勢にならないように注意し、患者ごとの体位変換の間隔や皮膚の状態を確認します。
看護師だけでなく、医師、リハビリテーション職、薬剤師、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーなどとカンファレンスを行うこともあります。療養病棟では、治療だけでなく、栄養状態、生活動作、家族の希望、退院後の生活まで含めて検討します。
ケアや観察の内容は、後でまとめて思い出すのではなく、できるだけその都度記録します。記録には、患者の状態、実施したケア、その後の変化、他職種や家族への連絡内容などを残します。
夕方:申し送り・勤務終了
勤務終了前には、日中の状態変化や未実施の処置、夜間に注意が必要な患者について整理します。発熱、食事量の低下、転倒リスク、排せつ状況、疼痛、呼吸状態など、夜勤者が観察すべき点を具体的に申し送ります。
記録や物品の確認を終え、患者の安全に関わる情報が共有できたら日勤が終了します。急な状態変化や入院・転棟の受け入れがある日は、通常より業務が増えることもあります。
療養病棟の夜勤の流れ
夜勤では、夕方から翌朝にかけて患者の安全を守り、休息を支援します。夜間も定期的な巡回や体位変換、排せつ介助、吸引、ナースコールへの対応などが必要です。
- 日勤者から、患者の状態や夜間の注意点について申し送りを受ける。
- 夕食前後の食事介助、服薬確認、口腔ケア、排せつ介助を行う。
- 就寝前の処置や体位調整を行い、点滴や酸素などの状態を確認する。
- 夜間に定期巡回を行い、呼吸状態、睡眠、体位、排せつ、点滴などを確認する。
- 必要に応じて体位変換、おむつ交換、吸引、ナースコールへの対応を行う。
- 朝の検温、起床介助、洗面、朝食準備を行う。
- 夜間の経過と朝の状態を日勤者に申し送る。
夜勤中の業務量は、夜勤者の人数、受け持つ患者数、認知症のある患者や医療的ケアが必要な患者の人数によって変わります。夜間に急な発熱や呼吸状態の悪化などがあれば、医師への報告や緊急対応が必要になる場合もあります。
急性期病棟と違う、療養病棟の看護師の業務
療養病棟では、急な治療や検査への対応だけでなく、患者の生活を整え、状態を維持することが重視されます。入院期間が長い患者も多いため、日々の小さな変化を継続して観察することが重要です。
| 項目 | 療養病棟 | 急性期病棟 |
|---|---|---|
| 看護の中心 | 療養生活の支援、状態の維持、慢性疾患の管理 | 急な病気や手術後の観察、治療への対応 |
| 患者との関わり | 長期的に関わり、生活習慣や本人の希望を把握する | 入院直後の状態把握や治療に必要な関わりが中心になりやすい |
| 主な観察 | 食事量、排せつ、睡眠、皮膚、呼吸、意識などの継続的な変化 | 手術後の経過、急変、検査値、治療への反応など |
| 多職種連携 | リハビリ、栄養、退院支援、家族支援を含めて継続的に行う | 治療計画や退院時期に合わせて行う |
ただし、療養病棟でも人工呼吸器、中心静脈栄養、経管栄養、吸引などの医療的ケアが必要な患者を受け入れていることがあります。そのため、「療養病棟だから医療処置が少ない」とは限りません。
一日の流れを左右する主な条件
同じ療養病棟でも、次の条件によって看護師の一日の流れは大きく変わります。
- 医療療養病棟か、介護療養を中心とした病棟か
- 入院患者の疾患や医療的ケアの内容
- 患者の介助量や認知機能の状態
- 入浴日、検査日、リハビリテーションの予定
- 入院、退院、転棟の有無
- 看護師や看護補助者の配置人数
- 急な発熱、転倒、呼吸状態の変化などの発生状況
求人情報だけでは、実際の受け持ち人数や夜勤中の業務量まで分からないことがあります。就職や転職で働き方を確認する場合は、「日勤の受け持ち患者数」「夜勤の看護師と看護補助者の人数」「入浴介助やおむつ交換の分担」「医療的ケアの内容」を聞くと、勤務のイメージをつかみやすくなります。
療養病棟の看護師に求められること
療養病棟では、患者の小さな変化に気づく観察力と、同じケアを安全に続ける力が求められます。患者の状態を毎日確認し、前日との違いを記録や申し送りで共有することが大切です。
また、食事、排せつ、清潔、睡眠、移動などの日常生活を支える場面が多いため、患者のペースを尊重する姿勢も必要です。医師やリハビリテーション職、看護補助者、家族と相談しながら、患者本人ができることを保つ視点も欠かせません。
療養病棟の一日は、検温や処置だけでなく、食事・排せつ・清潔ケア、体位変換、リハビリテーション支援、記録、家族や多職種との連携で構成されます。具体的な忙しさや夜勤の流れは病棟によって異なるため、働く場所を選ぶ際は、患者の状態とスタッフ配置を確認することが最初のポイントです。







