療養病棟の看護師の夜勤の仕事内容とは?

療養病棟の看護師の夜勤の仕事内容とは?

療養病棟の看護師の夜勤は、入院患者が夜間も安全に過ごせるように、全身状態の観察、巡回、排せつ・体位交換などの療養上の世話、薬剤管理、急変時の対応を行う仕事です。急性期病棟に比べて状態が大きく変化しにくい患者が多い一方、医療依存度や介護量が高い患者もいるため、夜間の観察と生活援助の両方が求められます。

ただし、夜勤の人数、受け持ち患者数、医療処置の内容、休憩の取り方は、病院や病棟、患者の状態によって異なります。

療養病棟の看護師が夜勤で行う主な仕事内容

夜勤では、日勤からの申し送りを受けたうえで、患者の状態を確認し、必要な看護や生活援助を時間帯に応じて行います。主な仕事内容は次のとおりです。

  • 申し送りの確認と夜勤中の看護計画の整理
  • 患者の巡回と全身状態の観察
  • バイタルサイン測定や症状の確認
  • 服薬や点滴などの薬剤管理
  • 体位交換、移乗、排せつ介助
  • 吸引、経管栄養、酸素管理などの医療的ケア
  • 不眠、不穏、疼痛などへの対応
  • 転倒や誤嚥などの事故予防
  • 急変時の初期対応と医師への報告
  • 看護記録の作成と翌勤務者への申し送り

患者の状態を観察する

夜勤では、患者の睡眠状況だけでなく、呼吸状態、意識、発熱、痛み、嘔吐、排せつ、食事や水分の摂取状況などを確認します。日中と比べて人の出入りが少ないため、巡回時の変化やナースコールの内容が、異常を把握する重要な手がかりになります。

療養病棟では、意思表示が難しい患者や認知機能が低下している患者もいるため、本人の訴えだけで判断せず、表情、体動、呼吸、皮膚の状態なども含めて観察します。

体位交換や排せつなどの生活援助を行う

長時間同じ姿勢で過ごす患者には、褥瘡(床ずれ)や関節の拘縮を防ぐための体位交換を行います。また、オムツ交換、トイレ誘導、ポータブルトイレの介助、陰部洗浄なども夜勤の大切な仕事です。

患者の状態によっては、看護師だけで対応せず、看護補助者と協力して移乗や清潔ケアを行います。夜間の転倒を防ぐため、患者の動作能力や普段の行動パターンを踏まえて介助方法を選びます。

夜間に必要な医療的ケアを行う

療養病棟では、患者の治療内容に応じて、吸引、経管栄養、点滴管理、血糖測定、インスリン注射、酸素療法などを行うことがあります。ただし、実施する処置や回数は、患者の状態と病院の運用によって異なります。

医療的ケアでは、決められた手順を守るだけでなく、実施前後の状態変化を確認し、異常があれば報告・対応することが必要です。

不眠や不穏のある患者に対応する

夜間に眠れない、落ち着かない、何度もナースコールを押す、ベッドから離れようとするといった患者への対応もあります。まずは痛み、発熱、排せつの希望、息苦しさ、環境への不安など、落ち着かない原因を考えて確認します。

認知症の患者などでは、無理に制止するのではなく、安心できる声かけや環境調整を行いながら、安全を確保します。薬剤の使用や身体的な制限が関係する場合は、病院の基準に従い、必要な報告と記録を行います。

療養病棟の夜勤の一般的な流れ

夜勤の時刻や業務の順番は病院によって異なります。以下は、夜勤で行われる業務を理解するための一例です。

  1. 勤務開始時に申し送りを受ける
    日勤者から、患者の体調、検査や処置、排せつ、食事、睡眠、注意が必要な患者などを確認します。
  2. 受け持ち患者を巡回する
    患者の所在、呼吸や意識、点滴や酸素の状態、ベッド周辺の安全を確認します。
  3. 夕食後のケアを行う
    服薬介助、口腔ケア、排せつ介助、体位交換などを行います。経管栄養などがある場合は、決められた時間に実施します。
  4. 夜間の定時巡回を行う
    睡眠状態や呼吸状態を確認し、必要に応じてオムツ交換、体位交換、吸引などを行います。
  5. ナースコールや患者の訴えに対応する
    痛み、排せつ、体調不良、不安などの訴えを確認し、必要なケアや報告につなげます。
  6. 記録と情報整理を行う
    実施したケア、患者の状態変化、医師や他職種への報告内容を記録します。
  7. 朝のケアと申し送りを行う
    起床介助、排せつ介助、洗面、朝食前後のケアなどを行い、夜間の経過を日勤者へ伝えます。

実際には、定時の処置中にナースコールや急な状態変化が重なることがあります。その場合は、患者の緊急度と安全を考えて優先順位を判断します。

急性期病棟の夜勤との違い

療養病棟と急性期病棟では、患者の入院目的や状態が異なるため、夜勤の業務にも傾向の違いがあります。ただし、すべての病院に当てはまるわけではありません。

比較項目 療養病棟 急性期病棟
入院患者の傾向 長期的な療養や継続的な医療・介護が必要な患者が多い 病気やけがの治療、手術、検査などを目的とする患者が多い
夜間の主な業務 生活援助、定期的な観察、医療的ケア、状態維持 状態変化への対応、術後管理、検査・治療に伴う看護
患者の変化 急激な変化が少ない傾向があるが、急変が起こる可能性はある 治療経過や術後の状態により、短時間で変化することがある
必要な視点 小さな変化の把握と、日常生活を支える継続的なケア 治療経過の把握と、急な状態変化への迅速な対応

療養病棟だから夜間の業務が少ないとは限りません。寝たきりの患者が多い病棟では、体位交換、吸引、排せつ介助、経管栄養などが重なり、生活援助に多くの時間が必要になることがあります。

療養病棟の夜勤で特に注意すること

夜間の誤嚥や窒息を防ぐ

嚥下機能が低下している患者では、食後の様子、口腔内の状態、痰の量、呼吸状態などを確認します。むせ、湿った声、呼吸苦、顔色の変化などがある場合は、誤嚥や体調変化の可能性を考えて、院内の手順に従って対応します。

転倒・転落を防ぐ

夜間は暗さや眠気、排せつの焦りなどから、普段は歩ける患者でも転倒することがあります。ベッド周辺の物品、履物、ナースコールの位置、照明、離床センサーの作動状況などを確認し、患者ごとの転倒リスクに合わせて環境を整えます。

褥瘡や皮膚トラブルを防ぐ

自力で寝返りが難しい患者では、体位交換や皮膚の観察を行います。発赤、傷、湿潤、失禁による皮膚のただれなどを見つけた場合は、早めに記録・報告し、必要なケアにつなげます。

急変時に落ち着いて対応する

療養病棟でも、発熱、血圧低下、呼吸状態の悪化、意識レベルの変化、けいれんなどが起こることがあります。患者の状態を確認し、応援を呼び、医師への報告や必要な処置を行うなど、病院で定められた手順に沿って対応します。

夜勤の看護師が一人で判断してすべてを抱えるのではなく、リーダー、他の看護師、看護補助者、当直医などへ適切に報告・相談することが重要です。

夜勤の忙しさを左右する条件

同じ療養病棟でも、夜勤の忙しさは次の条件によって変わります。

  • 夜勤帯に勤務する看護師と看護補助者の人数
  • 看護師1人あたりの受け持ち患者数
  • 寝たきりの患者や認知症の患者の割合
  • 吸引、経管栄養、点滴などが必要な患者の人数
  • 夜間のオムツ交換や体位交換の回数
  • 急変や転倒などの発生状況
  • 休憩や仮眠を交代で取れる体制かどうか

求人票だけでは、夜勤中の業務量や休憩の取りやすさまで分からないことがあります。就職や転職で確認する場合は、夜勤の看護師・看護補助者の人数、受け持ち患者数、夜間の処置、休憩の取得状況を具体的に尋ねると判断しやすくなります。

療養病棟の夜勤に向いている看護師

療養病棟の夜勤には、患者の小さな変化を観察する力と、生活を支えるケアを丁寧に続ける力が求められます。次のような働き方を希望する看護師には、適性を生かしやすい可能性があります。

  • 患者と長期的に関わりながら看護をしたい
  • 日常生活の援助や高齢者看護に関心がある
  • 決められた処置だけでなく、患者の変化を観察したい
  • 看護補助者やリハビリ職などと協力して働きたい
  • 急変時にも優先順位を考えて対応できるようになりたい

一方で、夜勤の負担は病棟の患者構成や人員配置によって大きく異なります。「療養病棟だから楽」と一括りにせず、夜間にどのような患者を何人担当し、どの処置を行うのかを確認することが大切です。

療養病棟の看護師の夜勤仕事内容を確認するポイント

療養病棟での夜勤が自分に合うかを判断するには、仕事内容だけでなく、業務量と勤務体制を確認します。特に次の点を確認すると、入職後のイメージとのずれを減らせます。

  • 夜勤の勤務時間と休憩時間
  • 夜勤1回あたりの看護師・看護補助者の人数
  • 看護師1人が担当する患者数
  • 吸引や経管栄養など、夜間に行う処置の種類と件数
  • オムツ交換や体位交換の頻度
  • 急変時の医師への連絡方法と応援体制
  • 電子カルテなどへの記録にかかる時間
  • 夜勤後の休みや勤務スケジュール

療養病棟の看護師の夜勤は、巡回や状態観察だけでなく、排せつ・体位交換などの生活援助、医療的ケア、急変時の対応まで幅広い仕事です。判断するときは「療養病棟」という名称だけでなく、患者の状態、夜勤の人員配置、夜間の処置内容を確認しましょう。